Case Study 13

失敗の危険が高い投資戦略を修正し、
融資の速度差で理想の収益物件を確保

外資系証券で営業部門の管理職をしておられるM様(48歳、夫婦と子供1人、年収1500万円)のご相談です。 定年退職後に備えて「そろそろ資産形成をしておかなければ」と検討されて奥様と相談した結果、不動産投資なら安全で確実と判断。不動産投資を決意されたとのことでした。 目標額をお伺いすると、「年間でキャッシュフロー500万円を早期に確保したい」とのことでした。


[ 課 題 ]

早期での「年間キャッシュフロー500万円の確保」という目標は、高い設定でありました。M様の投資目標を叶えるべく、当社のコンサルタントたちがいろいろと知恵を出し合った結果、次の3段階の投資戦略ならM様の目標を達成できるであろうと判断しました。

●第1段階
家賃を相場より多少高めに設定できる新築もしくは築浅物件への投資でキャッシュフローを稼ぐ。その実績でM様に対する銀行の評価を高める
●第2段階
賃貸経営が順調に進展し、M様に対する銀行の評価も高まったところで、銀行からの新規資金調達(2回目の銀行借入)で資産性の高い物件を数年後の売却を目途に取得する
●第3段階
その売却益でキャッシュフローを稼げる3棟目の投資を行い、1棟目と3棟目の賃貸物件運用でM様の目標を達成する

当社は上記のような投資戦略をご説明すると共にM様のご意見も伺いしたいと思い、M様と再面談しました。


[ 再面談 ]

面談に現れたM様は、開口一番、「すでにX社から提案を受けた物件の購入を予定しているので、アクティスへの相談依頼は打ち切りたい」と切り出され、私たちは驚きました。
それでも何とかM様に気持ちを静めていただき、いろいろとお話を伺うと、私たちが感じていた以上に投資を急いでおられました。外資系証券会社の管理職という多忙を極める職務がらか、プライベートな不動産投資活動に割ける時間は僅かしかないというのが理由でした。
「だから、投資を決意した以上は早く投資したい。アクティスの相談は結論が出るまでに時間がかかりすぎる。契約を予定しているX社の場合は、相談から3日後に具体的な投資提案があった」と、外資系企業のビジネスマンらしくプロセスより決定の速さを重視しておられました。

私たちは、当社に対するM様のそうした不満に対してお詫びしつつ、X社の提案内容をお聞きしました。
すると、投資物件として提案があった2件のうち1件目は何とかM様の目標に近付ける可能性のある物件でしたが、2件目は旧耐震基準で建築した築古マンションで、土地も狭く銀行の積算価格も出ない物件で、M様の目標からは逆に遠ざかる物件でした。1件目と2件目の投資のアンバランスが酷く、トータルでは目標達成はおろか失敗の可能性も高い提案でした。
X社が示した収益シミュレーションも、機械的に数値を弾き出しただけのような大雑把なものでした。

そこで当社は客観的にX社の提案内容のリスクをご説明し、確実にリターンを得られる優良物件は簡単には見つからない不動産投資の現実をまずご説明しました。
その上で、不動産投資の失敗を避けるためには綿密な現地調査と緻密な投資計画が必要なこと、さまざまな角度からの収益シミュレーションにより立案した投資計画の検証が必要なこと、そのための投資分析には一定の時間がかかることなどをご説明しました。
この説明でM様は自分が性急すぎたと速やかに認めてくださり、予定していたX社との投資契約のうち、2件目の築古物件の購入を中止されました。


[ 提 案 ]

当社では、X社提案の1件目の物件はそのまま同社と契約していただくことにし、2件目の物件購入を受託することになりました。
そこで当社は、X社物件とのバランスを取るために銀行の積算価格が出る物件を前提として調査。結果、多摩エリアで目当ての物件が見つけることができました。
当社が物件精査をしてみると、それは駅近の土地値のアパートであり更に同一エリアの競合物件と比べても利回りが良く、しかも現オーナーがこまめに手入れをしているので建物の程度も良好。外観もきれいな優良物件でした。
このため当社は、将来の建て替えを視野に入れる、もしくはリフォーム等による建物のバリューアップを行う事で長期間の投資運用ができると判断し、M様に物件購入を提案。先の再面談で当社の経営姿勢を信頼してくださったのか、M様はこの提案を即決され、当社は直ちに物件取得にかかりました。


[ 物件選定 ]

優良物件=多数の投資家が求めている物件。換言すれば競合物件ということになります。管理品質レベルが高い多摩エリアの目的物件は案の定、5社競合となりました。
しかし、当社は事前に当該案件の投資戦略と物件の精査結果を銀行に説明するなど資金調達の根回しをしていたので、ローンの申し込みを速やかに行うことで、融資の事前内諾をスピーディーに取り付けることができました。これにより契約日までの期間を空けずに設定することができ、他社との競合に競り勝つ事ができました。

次に銀行との交渉では残債減少スピードの加速を目的に、借入金返済期間短縮と金利の条件交渉を行いました。

銀行側は当初、借入期間25年、金利2.0%を提示し、この条件に固執していました。これに対して当社は、ローンパッケージを逆に提示して粘り強く交渉した結果、借入期間20年、金利1.5%の好条件を獲得できました。

その結果、当該物件に関しては担保余力を生み出すことにも成功しました。


[ 今回の投資内容 ]

●取得価格:8050万円
●EQ(自己資金):550万円
●LTV(ローン):7500万円

シミュレーション結果
GPI(総潜在家賃収入) …………………… 650万円
EGI(実収入) ……………………………… 617万円
OPEX(物件運用経費) ……………………  67万円
NOI(純利益) ……………………………… 550万円
ADS(元利返済額) ………………………… 394万円
BTCF(税引き前キャッシュフロー) ……  156万円


[ 現 状 ]

計画通りX社契約の1棟目とのバランスも良く、2棟とも満室経営です。
なお、当社が立てた3段階の投資戦略もM様は目標達成の近道と判断され、3棟目の物件購入も当社に依頼していただきました。
当社は現在、M様の資産形成の最適なポートフォリオ構築を図れる物件を探している最中です。