三軒茶屋駅周辺の不動産投資市況

渋谷からほど近くに位置し、古くは「大山詣り」の休憩地として栄えた「三軒茶屋」 多くの商店街が立ち並び、下町風情とどこか懐かしい文化を残す三軒茶屋周辺の不動産市況を解説します。


三軒茶屋駅周辺の概況

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三軒茶屋駅周辺は、江戸時代から「大山参り」の休憩地として栄えてきた街です。

現在は東急田園都市線と東急世田谷線の駅が近接し、渋谷から走ってきた玉川通りがここで玉川通りと世田谷通りに分岐し、近くを環七通りが走る交通の要衝です。渋谷からは田園都市線で2駅目、乗車時間5分の近さです。

駅周辺には全国一律のチェーン店ではなく、それぞれ趣向を凝らした個人経営のしゃれた飲食店や専門店が数多く軒を連ね、下町情緒あふれる商店街もあり、味わい深い街並みが形成されています。商店街は玉川通りと世田谷通りの分岐点を基点に、飲食店が立ち並ぶ「すずらん通り」、終戦直後の闇市の面影を残す「エコー仲見世商店街」、建物の中に商店街があるような「ブンカ名店街」などが点在しています。

三軒茶屋駅周辺の街を特徴づけているのが「祭り」です。

街中がサンバのリズムに酔いしれる「三茶ラテンフェスティバル」や街中がアートに包まれる「三茶de大道芸」を筆頭に「三茶屋祭り阿波踊り大会」、「三茶よいしょ祭り」などの他、毎週のように街のどこかでフリーマーケット、フェスタ、セールなどイベントが開催されています。これが三軒茶屋を活気づけています。

三軒茶屋のもう1つの特徴が駅周辺の商業地外縁に広がる住宅地の緑豊かな住環境です。

桜の名所として知られている「区立世田谷公園」をはじめ大小の公園が点在し、烏山川緑道、北沢川緑道、蛇崩川緑道などがあり、これらの公園と緑道の緑が街に潤いを与えています。都心近くにありながら、自然を感じる暮らしを満喫できるのも三軒茶屋の魅力となっています。このため、「住みたい街」ランキングで常に上位に名を連ねている人気住宅エリアでもあります。

都市再開発の概況

三軒茶屋はこれまで世田谷区都市整備方針で「広域生活・文化拠点」に位置づけられ、商業、工業、サービス、文化などの機能が充実した拠点として第1工区(旧アムス西武)、第2工区(キャロットタワー)、第5工区(サンタワーズ)が整備されてきました。

そして現在は第4工区で、都市の防災機能を高めると同時に広域生活・文化拠点として魅力のある都市空間創出を目指した再開発計画が進められています。第4工区は玉川通りと世田谷通りに挟まれた面積約1万8000平方メートルの地区です。エコー仲見世商店街を筆頭に終戦直後に建設された飲食店、専門店、映画館などが立ち並んでいます。

そこで、これら老朽化の進む建物を解体し、跡地に地上41階、地下2階、延床面積約7万2000平方メートルの複合ビルを建設し、地上1階~4階にエコー仲見世商店街とその周辺で営業していた店舗を収容すると同時にイベント広場を設け、5階以上に総戸数550戸程度の分譲マンションを整備する計画です。また、ビルの周囲は緑地で囲む計画が予定されています。

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賃貸マンション経営の概況

世田谷は「住みたい街」ランキングの上位エリアであるとともに、実際に住んでいる人が街から離れない「永住エリア」としても知られています。

そのため賃貸マンション・アパートは空室が少なく、たまに空室が出てもすぐに埋まってしまいます。つまり、「入居待機者」が多いわけです。その結果、家賃相場も世田谷区全域平均より高くなっています。

駅周辺が商業地域で余った土地がないため、築浅の賃貸マンションの大半が駅から徒歩10分以上の立地に建設されています。地理的には世田谷通り沿線や区立世田谷公園周辺が中心です。都心へのアクセスのしやすさ、買い物の便利さ、エリアブランド、自然を感じられる良好な住環境などを反映し、例えば三宿周辺の3LDKの分譲マンションは7500万円からと同一間取りの都心分譲マンションと比べてもやや高めです。

三軒茶屋の住宅地域の分譲マンションの場合、ファミリータイプは物件価格が高いので単身世帯向けのコンパクトマンションが中心になっています。ファミリータイプの入居者は富裕層や高額所得者が中心です。

一方、供給の方は2010年以降に駅から徒歩10分程度の淡島通り沿線で賃貸マンションの開発が進み、2005年より増えたといわれます。しかし、大規模な開発が少なかったため、今後も淡島通りや茶沢通りの沿線を中心に供給不足が予想されています。

これを逆に見ると、三軒茶屋の住宅地は賃貸マンション開発の狙い目エリアともいえます。そこで気になるのが賃貸マンションの間取りと家賃相場です。

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不動産投資情報サイト「ホームズ」の調査によれば、賃貸マンション入居者の間取りニーズはワンルーム・コンパクトマンションが66.75%、1LDK・2DKが23.60%、2LDK・3DKが6.4%、3LDK・4DKが2.6%などとなっており、単身者と夫婦二人世帯の需要が高いようです。不動産関係者からは「子供のいる家族世帯は永住希望が強いので、『三軒茶屋に住むなら分譲マンションか戸建て』と決めている消費者が多い」との声が聞かれます。

賃貸マンションの家賃相場は、田園都市線三軒茶屋駅から徒歩10分以内はワンルームが8万900円、1DKは10万3200円、2DKで13万2200円などとなっています。徒歩10分以上の場合はワンルームが7万7100円、1DKで10万1100円、2DKは12万2500円などとなっています。

徒歩10分以内の物件は、いずれの間取りも渋谷の徒歩10分以内の物件の平均家賃より2万円前後高く、徒歩10分以上の物件はいずれの間取りも渋谷のそれとほぼ同等なのが興味深いところです。意外な差別化ポイントかも知れません。

賃貸マンションの表面利回りは平均6.1%で、こちらは渋谷より0.3ポイント上回っています。空室率はほぼゼロのようです。なお、分譲マンションの平均価格(70平方メートル換算)は4404万円です。