下北沢駅周辺の不動産投資市況
新宿から小田急線で7分、渋谷から京王井の頭線で4分。吉祥寺へも同じく井の頭線1本で行けるという抜群の利便性を誇り、その両線の乗換駅が下北沢駅です。「シモキタ」の愛称で親しまれている下北駅周辺の街(以下、下北沢)は、住居表示では北沢、代田、代沢の3町域の下北沢駅一円を指しています。雑多な活気にあふれる下北沢の不動産投資市況について解説します。
雑多な商店街を抜ければ閑静な住宅地
「雑多な活気が溢れる街」といわれる下北沢は、そのいわれの通りいくつもの顔を持っているのが街の特徴だといえそうです。
その代表的な特徴を挙げれば、
第一が商店街の多さ。
駅周辺には「下北沢一番街」、「しもきた商店街」など7つの商店街があります。それぞれが独自の個性を持っています。
例えば、戦後の闇市の面影を残すといわれる「下北沢北口駅前食品市場」はその典型。衣料品を廉価で買える大衆衣料品店、青果店、鮮魚店、精肉店、乾物店、昼から酒が飲める立ち飲み居酒屋など、かつては数十軒が軒を並べていました。
しかし老朽化と、2013年の小田急線下北沢駅地下化に伴う再開発計画により取り壊しが進み、数年後にはすべての店が撤去の予定だといわれています。
第二が小劇場とライブハウスの多さ。
下北沢は「演劇の街」ともいわれ、「ザ・スズナリ」、「本多劇場」、「小劇場楽園」など10館以上の小劇場と多数のライブハウスがこの小さな街に集積しています。
毎年2月は1カ月間にわたり、各小劇場を会場にした「下北沢演劇祭」が世田谷区と下北沢商店連合会の後援で開催されています。演劇祭には30団余のプロ劇団はもとより世田谷区内のアマチュア劇団、一般公募の区民演劇グループが参加、プロとアマの競演が見られるのも大きな呼び物になっています。
第三が古着店の多さ。
下北沢は「古着の街」ともいわれ、一着数百円の古着から一着数十万円のヴィンテージ物まで、多種多様な古着を扱う40軒以上の店が駅前の商店街地区に散在しています。
こうした雑多で活気に溢れる商店街地区を抜けると、そこからは閑静な住宅地が広がります。
戸建て住宅、アパート、低層マンションなどが立ち並び、交通量も少なく、落ち着いた街並みを形成しています。
住宅地の中には花見の名所として有名な「北沢川緑道」、樹齢を重ねた樹木が茂る「北沢八幡宮」、大銀杏で知られる「森巌寺」などが点在。下北沢が自然豊かな街であることを感じさせてくれます。
下北沢の住宅地は大蔵大臣、通商産業大臣、第61~63代内閣総理大臣などを歴任し、総理大臣として沖縄返還を成し遂げた佐藤栄作邸があったことでも知られており、また戦前は萩原朔太郎、横光利一、斉藤茂吉などの大家をはじめ、多くの作家が居を構えた「文士町」だったともいわれています。
駅前再開発計画具体化で磨きがかかる「シモキタブランド」
下北沢は今、もう1つ新しい魅力を付け加えようとしています。それが小田急線線路跡地の再開発計画です。
踏切による交通渋滞の解消や鉄道により分断されていた市街地の一体化を図るため、東京都が進めている「連続立体交差事業」により、2013年3月、小田急線の東北沢駅~世田谷代田駅間の約2.2kmが地下化されました。
これに伴い小田急電鉄が東京都、世田谷区、渋谷区などと線路跡地の土地利用計画について協議をしてきました。
その結果、2013年11月に世田谷区内の線路跡地利用計画に関しては「街の個性を踏まえ『賑わいや回遊性、子育て世代が住める街』をキーワードに、新たな街の魅力創出を目指す」との協議内容がまとまりました。
これにより、下北沢駅周辺の線路跡地については、すでに2006年に事業認可されていた「下北沢駅周辺都市計画道路事業(補助第54号線および世区街第10号線)」の開始に向けた動きが本格化しました。
補助第54号線事業は下北沢駅の北側を東西に貫く道路計画。第10号線事業は補助第54号線と下北沢駅をつなぐ道路計画。
また第10号線事業では商業施設が入った地上2階建ての駅ビル建設と、広さ約7200平米の駅前交通広場の整備が計画されています。
駅前交通広場にはバス乗降場とタクシー乗り場の設置、現在は駅から離れた場所に設置されているバスターミナルの駅前移設が予定されています。同広場はこの他、祭りなどのイベント会場、災害発生時の避難場所としての活用も予定されています。
再開発計画終了は東京五輪開催の2020年が目標だといわれています。終了すれば街の利便性が今より高まり、「シモキタブランド」に磨きがかかると期待されています。
需要の多さに比べて少ない物件供給
下北沢駅からは国士舘大学世田谷・梅ヶ丘キャンパス、明治大学和泉キャンパス、東京大学駒場キャンパスなどが近いため、下北沢の住宅地は学生向けや、明日のスターを目指し役者・タレント修行に汗を流す若者向けのワンルームマンションやアパートが多いのが特徴といえます。
しかし新築賃貸マンションの供給は望み薄だといわれています。「良好な住環境を保つため」の用途地域である第一種と第二種の「低層住居専用地域」に指定されているエリアが多いので、高層マンションの建設が難しいからです。
このため限られた物件を巡って入居希望者同士の争奪戦もしばしば行われています。
需要に対する物件供給数があまりにも少ないため、単独入居を諦めた学生や若者が戸建て賃貸住宅のハウスシェアやファミリー向け賃貸マンションのルームシェアをするケースも多いといわれています。
不動産投資情報サイト「HOME’S」の調査によれば、賃貸マンションの家賃相場はワンルームマンションが8.3万円、1DKが10.6万円、2DKが12.8万円、2LDKが19.4万円などとなっています。学生、役者・タレント志望の若者などの入居需要が多いせいか、家賃相場は近隣の代々木上原や東北沢より低めです。
駅前再開発計画も具体化し、街のブランドディングに磨きがかかる予測もある下北沢は、投資すれば満室経営はまず間違いないといわれています。
またハウスシェアやルームシェアにも抵抗感がない街柄といわれているので、そうした物件も選択肢になるかも知れません。
人気物件の絶対数が限られる中では、一般論に縛られず実践的な資産設計と物件選定が重要となることでしょう。
どのような目標とリスクを設定して投資戦略を構築すべきか、もし迷われた際には弊社まで気軽にご相談ください。豊富な実績を元にしたアドバイスでサポートさせていただきます。