京王線沿線の不動産投資市況
京王線は新宿駅から調布駅を経由して京王八王子駅までを結ぶ京王電鉄の路線です。明大前駅で井の頭線と乗り換えができ、京王新線・相模原線・競馬場線・動物園線・高尾線という支線・増設線を有します。
新宿からのアクセスの良さに加え自然環境や住環境のクオリティが高い京王線沿線の不動産は需要が高く、不動産投資の対象としては適しているといえるでしょう。
渋谷から下北沢、吉祥寺を結ぶ井の頭線も人気が高いのですが、ここでは特に京王線本線沿線の不動産投資市況を中心に解説していきます。
京王線沿線の概況
京王線のはじまりは1913年、笹塚~調布間に開通した京王電気軌道です。甲州街道沿いのかつての宿場町を結ぶ路線としてスタートし、1928年には新宿追分~東八王子間を直通運転するようになりました。
戦後、多摩地域の人口増に加え京王グループも住宅開発に乗り出し、多摩ニュータウン入居開始後はニュータウン住民の主要通勤路として輸送量を増加していきました。このように、京王線は極めて「住宅地」とのゆかりが深い私鉄路線となっています。
京王線沿線には調布、笹塚、千歳烏山、明大前、つつじヶ丘、桜上水、仙川といった人気の高い住宅地があり、ジブリ映画「耳をすませば」の舞台になった聖蹟桜ヶ丘や「下高井戸商店街」で有名な下高井戸も注目を集めています。
また、京王線と井の頭線の交差駅でもある明大前駅は明治大学和泉キャンバスの最寄り駅でもあり、学生や若い単身者向けに高い賃貸需要があります。
沿線全体に共通する傾向としては、「新宿駅まで電車1本で移動でき、都心へのアクセスがいい」「電車の運行本数が多く便利」「ほかの路線に乗り換えしやすい」「自然環境に恵まれている場所が多い」などが挙げられます。
京王線沿線の不動産需要
全体的に「新宿や都心部に近く便利な割に賃料が安い」と人気の高い京王線沿線。上記で触れたように学生・若い単身者からファミリー層まで幅広く人気があり、ワンルーム~3LDKまで不動産物件は潤沢に供給・流通しています。
また京王線は都内の住宅地が密集する世田谷区と杉並区の境界を経て調布市・府中市方面へと延びており、住宅需要が高く安定している点も不動産投資においては好感触をもって迎えられています。
調布市の代表駅・調布駅、府中市の代表駅・府中も京王線で、これらの駅周辺の地価(公示地価)は次のようになっています。
○調布-1(調布市布田6丁目3番13) ……… 347,000円/平方メートル
最寄り駅の調布駅周辺では再開発事業が進捗中であり、利便性の向上がさらに期待されることから地価は上昇傾向が継続している。
○府中-1(府中市八幡町2丁目12番40) …… 316,000円/平方メートル
需要は底堅く、地価は緩やかではあるが引き続き上昇傾向で安定的に推移している。
(国土交通省地価公示 鑑定評価書による)
東急池上線沿線の開発計画
上記の鑑定評価書で「調布駅周辺では再開発事業が進捗中」とされているのは、おそらく「京王線・相模原線(調布駅付近)連続立体交差事業」のことであると思われます。
この事業は2012年に京王線調布駅が地下化されたことによって発生した線路跡地の有効活用化をベースに、A~Cの3つの敷地に複合商業施設を建設するという計画で、すでに住宅戸数120戸の「グレーシア調布」、190戸の「セントラルレジデンス調布ステーションコート」などが竣工しています。また、これに続き2017年度には多摩地区最大級のシネマコンプレックスも登場する予定です。
このほか、味の素スタジアム横では東京五輪競技場となることを想定した観客数1万人規模の大型アリーナの建設も計画されています。
このほか笹塚駅前に竣工した複合ビル「メルクマール京王笹塚」(住宅戸数236戸)内には高感度な商業施設「フレンテ笹塚」もオープンし、周辺の不動産価値の向上に貢献しています。
このように、京王線沿線の都市開発計画は中規模のものが多く、街そのものをつくりかえるというよりも、既存の不動産価値を高める性質のものが中心となっており、それと並行して単身者~ファミリー層に向けた幅広い間取りのマンション開発が進んでいます。
京王線沿線主要地の家賃相場及び不動産市況
京王線沿線の主要地区の賃料相場は下記のとおりです。
1R | 1DK | 2DK | 3LDK | |
調布駅周辺 | 5.62 | 7.67 | 9.43 | 14.30 |
笹塚駅周辺 | 7.5 | 9.45 | 11.87 | 21.64 |
明大前駅周辺 | 6.97 | 9.25 | 11.08 | 19.56 |
千歳烏山駅周辺 | 7.17 | 8.60 | 10.89 | 12.96 |
府中駅周辺 | 5.10 | 8.02 | 8.58 | 10.78 |
(単位は万円・HOME’S調べ)
なお国土交通省地価公示の鑑定評価書を見ても京王線沿線の地価は概ね底堅く、緩やかながら上昇傾向が続いています。中長期的にも地価が値崩れする要素は見当たりません。
このため短期的な転売による収益を目指す方よりも、相続税対策など中長期的に安定した不動産資産を保有し、堅実な運用をしたい方にとって魅力的なエリアといえるでしょう。
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