城西エリアの不動産投資市況
城西エリアは東京23区西部の世田谷区、中野区、杉並区、練馬区の4区で構成されています。都心・副都心へのアクセスが良好でありながら豊かな自然環境に恵まれ、等々力、成城学園、浜田山、永福など都内でも屈指の高級住宅街が点在しており、また、城西エリア全体が東京都有数の住宅街を構成しています。 全体的に地価が安定しており、根強い人気を持つ城西エリアの不動産投資市場について解説します。
人口増加が続き底堅い住宅需要
城西エリアは全般的に住宅地が多く、東京23区の人口ランキングでみると世田谷区が第1位(908,960人)、練馬区が第2位(425,461人)となっています。杉並区は第6位の569,462人、中野区は13位の332,182人ですが、中野区は人口密度でみると豊島区に次いで多い第2位(21,307人/平方キロメートル)となっており、城西エリア全体を通じて居住者が多いことがわかります。
また、世田谷区は人口増加率をみても江戸川区に次いで第2位です。
※東京都webサイト「東京都の人口(推計)」平成28年5月1日現在のデータを使用
杉並区が平成27年9月に発表した「杉並区人口ビジョン」によれば、平成9年以降緩やかな人口増加が続いており、人口増の主要因は転入超過であるとしています。杉並区では今後、景気動向など不透明な要素もあるとしながらも、方南町や阿佐谷地区での大型の再開発計画、平成32年の東京五輪、そして首都圏在住者の都心回帰の傾向などから、当面は緩やかな人口増が予測されるとのことです。
練馬区は、23区のなかでは比較的地価が安く、また自然環境に恵まれた物件が豊富で、安定した不動産需要があります。練馬区の主要地域、例えば地下鉄大江戸線の始発駅として利便性の高い光が丘駅周辺や、学園都市として注目を集めている大泉学園駅周辺などの地価公示価格は緩やかな上昇ぶりを維持しており、安定した不動産資産の運用が期待できるでしょう。
再開発でブランド力急上昇中の中野区
中野区は、かねてから東京都心の不動産投資において「穴場」と言われてきた地域です。JR中央線快速や東京メトロ東西線などで都心・副都心に非常にアクセスしやすい環境にありながら、「サブカルチャーの街」としてのイメージが強く、またランドマークである中野サンプラザの老朽化や中野駅周辺の再開発の遅れなどから、住宅地としてのブランド価値はなかなか実力に見合った評価がされにくく、実勢地価が抑えられていたからです。
しかし、警察大学校跡地の再開発で2013年から2014年にかけて早稲田大学、明治大学、帝京平成大学などの大学、そしてキリンホールディングス、栗田工業などの大企業本社の誘致に成功したのを皮切りに、中野サンプラザ及び中野サンプラザと隣接する区役所を解体して新たな中野のランドマークとして蘇らせ、さらに駅ビルを新設するなど、一連の大規模再開発計画が着々と進行しています。中野区都市政策推進室によれば、すでに「昼間人口だけで2万人が増えた」としており、中野駅の利用者も激増しています。これらの影響により、今後中野区のブランドイメージは一気に向上し、それが地価に反映する可能性は高いでしょう。
二子玉川、下北沢も注目エリア
再開発といえば、高級住宅地としてのブランドをすでに確立している二子玉川駅周辺や、若い世代に特に人気の高い下北沢からも目が離せません。
二子玉川駅といえば、郊外でありながら都心並に都市設備が充実しています。東急田園都市線で渋谷駅まで約11分、東急大井町線で自由が丘駅まで約10分という交通アクセスの良さに加え、高級住宅地と呼ばれるにふさわしい町並みや住人のセンスの良さにも定評があります。
また、2015年には3つの街区と二子玉川公園で構成される複合施設「二子玉川ライズ」もオープンし、街の魅力はさらにアップしました。かつては「今後、住人の高齢化とともに街の活気が衰えていくのでは」という懸念もありましたが、近年は若いファミリー層の流入が目立ち、広めの間取りのマンション需要増が顕著です。
一方、下北沢は小田急線で新宿駅まで約7分、京王井の頭線で渋谷駅まで約4分という立地が魅力で、「若者の街・シモキタ」というブランドを確立しています。当然マンション需要も高いのですが、好条件の立地の多くは低層住居専用地域に指定されており、高層マンションが建てられない都合上、物件供給には限界がありました。
しかし、2013年に小田急線の東北沢駅~世田谷代田駅間が地下駅化され、線路跡地が再開発されることになったのです。線路跡地開発で住宅供給の中心となるのは東北沢駅周辺及び世田谷代田駅周辺になる見込みですが、商業施設が再開発の柱になるとみられる下北沢駅周辺でも、「大規模な商業施設は考えていない(小田急電鉄・山木利満社長)」とのことで、魅力的な土地やマンション物件がかなりまとまって供給されるチャンスは十分にあるでしょう。
また、この一帯の広場や通路の整備の状況によっては、東北沢駅周辺及び世田谷代田駅周辺の物件までが「シモキタの延長」と認知される可能性があり、エリアブランドの勢力図がガラッと描きかえられるかもしれません。城西エリアのなかでも特に目配りしておきたいところです。
「エリアブランド」の変動を見据えた不動産投資を!
不動産情報サイト「HOME’S」の調査によれば、城西地区の地価はいずれのエリアも、昭和の終わりから平成初期をピークとして平成16~18年頃まで下降が続き、平成20年頃にいったん上昇したあと、平成22年以降は現在の価格で安定推移しています。
公益財団法人東日本不動産流通機構の2016年4月のレポートによれば、首都圏における2015年の中古マンション成約件数は2年ぶりに前年度を上回り、成約物件の平均価格は3年連続で上昇しています。しかし、一部では東証REIT指数の下降基調やマンション賃料相場の頭打ちなどを懸念する声も出ており、都心であっても、これまでのようにおおむね一律的な地価上昇が続くとは考えにくくなっています。
また、東京五輪に向けて都心各地で大規模な再開発が活発化してきており、上で触れたような「エリアブランドの変動」によって、不動産資産価値の「勝ち組・負け組」が次第に鮮明になってくることも予想されます。
城西エリアで不動産投資をお考えなら、近い将来のエリアブランドの変動を読み、地価が安定しているうちに本格的な地価高騰が期待できる物件を選んで投資しておきたいものです。また投資に必要な融資をどのように確保するか、好条件で融資を引き出すかという点も重要です。弊社の金融評価鑑定分析は、実績の積み重ねと金融機関との信頼構築により目的にあわせた融資の確保が可能です。ぜひお気軽にご相談ください。