武蔵小杉駅周辺の不動産投資市況

JR3路線(南武線、横須賀線、湘南ライン)と東急2路線(東横線、目黒線)が乗り入れる武蔵小杉駅周辺の街が、地域住民から「ムサコ」の愛称で親しまれている「武蔵小杉」です。
武蔵小杉の行政区は川崎市中原区で、地理的には中原区北東部の地域です。中原区役所の所在地でもあります。マンション開発が急速に進む武蔵小杉駅周辺の不動産市況について解説します。


「工場地帯」から「タワマンの街」へ急変貌

21世紀に入るまでの武蔵小杉は、住宅地として無名の街だったと言えます。それもそのはず、武蔵小杉は元々JR南武線沿線に電機産業関連工場の連なる土地でした。
京浜工業地帯の一角を形成する工場地帯でもあり、住宅地は街の北西部の「多摩川沿岸にあっただけ」(不動産業界関係者)と言われています。

その街が急激な変貌を遂げたのは2003年以降、わずか10年余りの出来事です。
1990年代から激化したグローバル競争に対応するため、産業界の事業再編が進みました。武蔵小杉では1990年代後半から電機産業関連の工場閉鎖が進み、武蔵小杉はさながら「工場の空き家地帯」と呼ばれるようになりました。
このため川崎市は武蔵小杉を「川崎第三都心」に指定。同市は民間の工場跡地再開発を誘致する形で2003年から「住・商・医がコンパクトに整った街づくり」を進めてきました。
同市の誘致で工場跡地が敷地の広い優良なマンション用地となり、そこに次々とタワーマンションや商業施設が建設。タワーマンションだけでも11棟が林立する「タワマンの街」に生まれ変わりました。
それに伴って「10年間で約1万5000人が武蔵小杉に転居してきた」(不動産業界関係者)と言われています。

現在、武蔵小杉の住宅地はおおむね次の3エリアに大別できます。
1つ目は、JR南武線と東急東横・目黒線に仕切られた北西部の「旧住宅地エリア」。
いわば武蔵小杉古来の住宅地といったところで、中低層マンションが建ち並び、小中学校も多いエリアです。多摩川沿岸には地域住民の憩いの場ともなっている緑豊かな「等々力緑地」もあり、今では「武蔵小杉の高級住宅街」の趣を醸し出していると言われています。
また、武蔵小杉駅の駅前周辺には、街のランドマークにもなっている複合オフィスビルの武蔵小杉タワープレイスやシティホテルが建ち並び、中原区のビジネス街的役割を果たしています。

2つ目は、JR南武線と東急東横・目黒線に仕切られた南西部の「商業エリア」。
このエリアの府中街道沿いには中原区役所、中原警察署、中原郵便局などを始めとする行政関連施設、聖マリアンナ医科大学東横病院を始めとする診療所、医院などの医療施設、各種商業施設、銀行などが集まり、街の中心であると共に中原区の行政・商業・医療サービスの中心地ともなっています。 また、府中街道の西側は戸建て住宅や中小規模のマンションが建ち並ぶ閑静な住宅地になっています。

3つ目は、綱島街道とJR南武線に仕切られた南東部の「再開発エリア」。
電機産業関連工場が最も多く集まっていたエリアで、2003年からの工場跡地再開発でタワマンが林立するなど、武蔵小杉で最も変貌したエリアと言われています。

利便性の高い住環境を目指して今も続く再開発の槌音

現在、武蔵小杉で新たに進んでいる再開発計画が、武蔵小杉駅北口周辺の「武蔵小杉二丁目地区再開発計画(仮称)」です。
同計画では、日本石油(現JX日鉱日石)社宅跡地に地上54階建て2棟の複合型ツインタワーマンションを建設する予定です。
さらに、同計画地区北側にある日本医科大学武蔵小杉病院がある地区では、「日本医科大学地区再開発計画(仮称)」も進んでいます。
こちらは「医療と文教の街形成」を目指し、現存の日本医科大学武蔵小杉病院を再整備。高度医療・福祉施設、川崎市立小学校新校舎、ツインタワーマンションなどから成るコンパクトシティ―を建設する予定と言われています。
こうした再開発により、武蔵小杉は今後さらに利便性の高い住環境が整った街に発展するものと見られています。

ファミリー向け賃貸マンション投資の穴場

東急東横線で渋谷駅までは特急で約13分、横浜駅までは同じく約14分。渋谷と横浜のほぼ真ん中に位置している交通至便のロケーションが武蔵小杉の強みと言われています。

加えて近年は再開発により生活インフラが整備され、住宅地としての利便性が飛躍的に向上したのが注目されたのか、リクルート住まいカンパニーの「2016年版 みんなが選んだ住みたい街関東版」では、恵比寿、吉祥寺、横浜に次ぐ第4位にランクイン。「住みたい街」上位の常連エリアに匹敵するほどの人気を集めています。

また川崎市は、「子育て世帯にやさしい行政サービス」を進めている自治体として有名です。
同市は待機児童ゼロを目指し、認可保育所の増設などを進めているほか、市内各所に「地域子育て支援センター」を設置し、子育て相談対応、親同士が子育ての情報や経験を交換するために子連れ保護者交流会の開催などを積極的に行っています。
子育て行政サービスに熱心なのは中原区も同じです。同区はお膝元の武蔵小杉をそのモデルケースにしようと、保育所整備や地域子育て支援センター活動の充実に加え、歩道を広く取るなどベビーカーが通行しやすい道路づくりをしていると言われています。商業施設も子供たちが走り回って遊べるキッズスペースを設けているところが多くあります。
また、街全体も郊外らしいゆったり感に満ちているのも、武蔵小杉ならではの魅力の1つです。

こうした魅力にひかれ、近年は特に子育て世代の人口流入が急増。「ファミリー向け賃貸マンションの供給が需要に追い付いていない」(不動産業界関係者)とも言われています。
ちなみに、不動産情報サイト「HOME’S」の調査によれば、賃貸マンションの家賃相場はワンルームマンションが7.0万円、1DKが8.6万円、1LDKが14.2万円、2LDKが17.0万円、3LDKが22.1万円などとなっています。
現在の家賃相場は横浜より低めですが、「横浜並みになるのは時間の問題」(不動産業界関係者)と見られています。

郊外型のファミリー向け賃貸マンションの経営を目指す投資家には、満室経営と長期入居者で安定的なキャッシュフローが見込める武蔵小杉は、投資先として一考の価値がありそうです。このように安定した収益を保持するためには、地域や近隣の不動産分析が欠かせません。弊社の不動産経営代行(プロパティマネジメント)は、物件周辺における賃貸マンションの開発状況や賃料分析などを踏まえた適切な不動産経営をサポートし、キャッシュフローを最大化することが可能です。ぜひご検討・ご相談ください。