目黒駅周辺の不動産投資市況
「目黒と言いながら品川区」としても有名な目黒駅は品川区上大崎にあります。「住みたい街」としても注目度を高めつつある、このエリアの不動産投資市況について解説します。
駅前再開発で街の人気が一挙に上昇
JR山手線をはじめ4社路線が乗り入れているターミナル駅が目黒駅です。
目黒駅周辺の街は一口に「目黒」と呼ばれていますが、街のエリアは目黒区と品川区に跨っています。
これまで、近隣の渋谷や恵比寿と比べると地味な街だったため、長らく注目度の低い街でした。ところが昨年辺りから街の人気が一挙に上昇してきました。不動産情報サイト「スーモ」の「住みたい街ランキング2015」では、ランキングが前年の11位から4位に急浮上する人気ぶりです。
これは2012年から始まった駅前再開発事業(目黒駅前地区第一種市街地再開発事業)の終了が秒読み段階に入ったことから、街全体の資産価値向上への期待が高まったのが要因だといわれています。
同事業は、目黒駅東口の品川区上大崎三丁目にあった都バス車庫の跡地約2万3000平米の再開発事業のことです。地上40階建てと同38階建てのタワーマンション2棟、ならびに同27階建ての複合オフィスビルを開発する計画です。
タワーマンションは2017年12月竣工予定で、マンションの分譲分はすでに完売したといわれています。事業計画によれば供給戸数は2棟合わせて920戸(40階建てが510戸、38階建てが410戸)。2018年1月から予定されている入居が始まれば「目黒は新しい発展期に入る」(同事業関係者)ものと期待されています。
目黒は江戸時代、行楽を兼ねた瀧泉寺(江戸三大不動の1つ「目黒不動尊」を祀った寺)への参詣客で賑わった街。しかし明治時代になり、各地で行楽地が開発されるようになると瀧泉寺への参詣行楽客は減り、街は次第に寂れていきました。
しかし1885年(明治18年)の目黒駅開業以降、当時は東京郊外の農村地だった目黒で宅地開発が行われて、次第に市街地化し、住宅地として発展してきました。
また1923年(大正12年)には 目黒蒲田電鉄(現東急目黒線)の目黒駅が開業。目黒駅は山手線と目蒲電鉄の乗換駅になりましたが、目蒲電鉄はもともと品川区と大田区内だけのローカル線。渋谷駅や新宿駅のようなターミナル駅になることはなく、その後もずっとマイナーな駅のままでした。目黒自体も大都市化することはなく、繁華街もないひっそりとした住宅地でした。
この目黒が変わるきっかけとなったのが、2000年9月の東京メトロ南北線目黒駅の開業でした。目黒から六本木一丁目、永田町、四谷などの都心部を経て赤羽岩淵までの路線が誕生し、さらに翌年には、埼玉高速鉄道との相互乗り入れでさいたま市の浦和美園までがつながり、交通の利便性が飛躍的に向上しました。 それに合わせて東急目黒線の目黒駅が地下化。その上にオフィス、飲食店、専門店などが入った駅ビル「JR東急目黒ビル」(現アトレ目黒)が開業して駅前の風景が一変、目黒は進化する街へと歩み始めました。
自然の豊かさ、歴史の重み、文化の多様性が魅力の街
現在の目黒の魅力は自然の豊かさや歴史の重みに加え、新旧・東西が融合した文化の多様性にあるといわれています。
自然では東京都庭園美術館の周囲に国立科学博物館附属自然教育園の豊かな森が広がり、目黒川沿いは都内屈指の桜の名所になっています。目黒川沿いには野鳥を観察できるバードウォッチング施設もあります。
文化の多様性では、例えば目黒駅西口から「権之助坂(写真下)」を下って目黒川を渡り、「大鳥神社」に至る約3kmの道のりにある「権之助坂商店街」。ここには256店が加盟していますが、商店街周辺がオフィス街に囲まれているためか、加盟店の8割は飲食店が占めています。
これらの飲食店が多彩で、イタリアン、フレンチ、スパニッシュ、インド料理、タイ料理、中華料理と「料理ならなんでもあり」の世界。ラーメン店だけでも10軒以上がひしめく激戦区だといわれています。
こうした繁華なメインストリートから一歩離れれば、閑静な住宅地が広がり、一帯には由緒ある寺院がいくつも点在するようになるなど、歴史の重みを感じさせてくれます。
交通の利便性に加え、自然、文化、歴史の重みをバランスよく保っているのが目黒の魅力だといえそうです。
億ションと一般マンションが併存する目黒の不動産市場
目黒の住宅地には地形の高低差が大きく影響しています。 品川区側の高台には、目黒通りを挟んだ南北に「長者丸」と「花房山」と呼ばれる屋敷街があります。
「長者丸」は住居表示で言えば品川区上大崎2丁目辺り。昭和時代初期に住宅地として開発され、財界人、高級官僚、著名学者などが邸宅を構えたことから屋敷街が形成されたといわれています。
「花房山」は住居表示で言えば品川区上大崎3丁目辺り。秒読み段階に入った駅前再開発事業の予定地などが含まれています。再開発により更に資産価値が上がるであろうと言われています。
目黒駅から目黒川に向かう傾斜地と目黒川沿いの低地には、オフィスや飲食店に混じって戸建て住宅やマンションが立ち並んでいます。
通称目黒通り(都道312号)に沿って進むと、目黒川・山手通りを越えたあたりから周囲は再び高台に。町名でいえば目黒三・四丁目がまた屋敷街になっています。
この目黒通り南側の高台は、瀧泉寺や五百羅漢寺をはじめとした江戸時代からの古刹が点在する地域であり、明治時代から住宅地として開発されてきた地域。目黒の中でも歴史の重みを最も感じさせる地域だといえそうです。
また、品川区側の高台も目黒区側の高台も、住宅専用の用途地域のため小規模以外の商業施設や事業施設は建設できず、おのずと地価が高くなっています。その影響で1億円を超える高級マンションやデザイナーズマンションなど、グレードの高い物件が多いのが特徴だといえそうです。1億円超の高級中古マンションも少なくないといわれています。
目黒に投資するなら今がチャンス
こうした市場特性からか、オフィスビル同様、賃貸マンションはほとんど目黒駅周辺、目黒駅から目黒川へ向かう傾斜地、目黒川沿いの低地などに集中しているようです。
不動産投資情報サイト「HOME’S」の調査によれば、賃貸マンションの家賃相場はワンルームマンションが11.3万円、1DKが12.8万円、2DKが15.2万円、2LDKが26.8万円などとなっており、恵比寿よりは低めになっています。
しかし駅前再開発事業が終了すると、その資産価値上昇効果で「目黒人気」がさらに高まり、入居需要が増加することも予想されています。それにつれて家賃相場の上昇も期待されています。このように市況の変化が見込まれるエリアでは、どのような物件を選定して経営していくかといった投資戦略を臨機応変に設定していくことが収益の最大化にとって重要な要素となります。不動産投資を通じた試算設計に不安を覚える方は、お気軽に弊社のような専門パートナーへ相談されるといいでしょう。
不動産業界では「目黒の賃貸マンションに投資するなら今がチャンス」だともいわれています。
目黒への投資を検討するには、再開発の進むここ数年が良いタイミングなのかもしれません。