神楽坂駅周辺の不動産投資市況
「都心の一等地でありながら江戸時代の下町風情を残している」と言われるのが、東京メトロ東西線・神楽坂駅周辺の街「神楽坂」です。
神楽坂というと、一般にはJR総武・中央線飯田橋駅から大久保通りの神楽坂上交差点までの「神楽坂通り」の狭い地域をイメージしがちです。しかし住宅地としての神楽坂は、地理的にはおおむね東側を外堀通り、北側を目白通り、西側を外苑東通り、南側を防衛省がある市谷本村町に囲まれた地域一帯を指します。神楽坂はまた全域住居表示未実施地域なので、東五軒町、西五軒町、揚場町、袋町、横寺町など伝統的町名が数多く残っている地域としても有名です。
独自の街並みが幅広い層から支持される神楽坂駅周辺の不動産市況について解説します。
ファミリー層から独身層まで世代を問わず暮らしやすい街
神楽坂は明治・大正時代、新橋、赤坂、芳町(日本橋人形町)、向島、浅草と共に「東京六花街」として隆盛を極めた花街で、その名残がいまも色濃く残っていることから、近年は海外のガイドブックで紹介されることも多く、訪日観光客の人気スポットの1つになっています。
メインストリートの神楽坂通りは飲食店、ファッション、雑貨、食料品などの老舗、有名店なども軒を連ねる商店街です。
この通りの中ほどにあるのが「善國寺」で、神楽坂のランドマーク的存在になっています。創建約400年の歴史を持つ日蓮宗の寺で、「毘沙門天像」を本尊として祀っています。毘沙門天は仏教の四天王の一人で、法華経では「仏法に帰依する衆生の守護神」とされています。そこから地元では「開運・厄除けの毘沙門様」として江戸時代から親しまれてきました。
神楽坂は「路地の街」としても有名です。神楽坂通りを始め10本以上と数えられる自動車通行路から一歩中に入ると、自動車が通れない細い路地道が迷路のように街中を走っています。ここが神楽坂の住宅街における大きな特徴です。自動車の往来がないので、極めて閑静な住宅街ともなっています。
それも単なる住宅街ではありません。住宅街の中に、町屋を改造した隠れ家的な有名レストランやカフェ、料亭が多く混在しており、神楽坂独特の「和の風景」を作り出しています。
さらにもう1つの特徴が、「パリの雰囲気と和の調和」です。
その源が、市谷船河原町にあるフランス政府公式の文化センター「アンスティチュ・フランセ東京」(旧東京日仏学院)と言われています。
文化・芸術の日仏交流を目的に、フランス語講座、フランス語資格試験実施、中長期フランス留学斡旋の他、フランス文化・芸術関連の講演会などの活動を精力的に行っています。
その関係からか、神楽坂はフランス人シェフが腕を振るうフレンチレストラン、ビストロ(フランス式居酒屋)、ブルターニュ地方の郷土料理「ガレット」専門レストランなど「フレンチ系」飲食店が多く、その密集度は国内随一と言われています。
このため、街中を行き来するフランス人が多く見られ、「東京のプチパリ」と呼ばれることもあるようです。
神楽坂は安定的キャッシュフロー確保に適した投資エリア
「ファミリー層も独身層も暮らしやすい街」(地元不動産会社)と言われる神楽坂には、戦前から親、子、孫と何代にもわたって住み続けている住民が多く、また転入組を含めた新旧の住民が現在の街並みや街の雰囲気を大切にしているせいか、今のところ都市再開発の計画はないようです。
そんな神楽坂の魅力は「一に交通の便利さ、二に文化的雰囲気の高さ、三、四がなくて五が物価の安さ」と言われています。
神楽坂には徒歩圏内に東京メトロ東西線・神楽坂駅、都営地下鉄大江戸線・牛込神楽坂駅、東京メトロ有楽町線・江戸川橋駅、東京メトロ東西線・有楽町線・南北線並びに都営地下鉄大江戸線の飯田橋駅、JR総武・中央線の飯田橋駅と8ヵ所もの駅があり、鉄道5路線が利用できる交通至便のロケーション。都心でも稀な利便性と言えます。
また、かつては東京六花街の1つとして栄えた花街文化を継承している関係から神楽坂の街には日本舞踊、三味線、長唄、生け花、茶道など伝統的な習い事の教室が多く並びます。さらに1962年の旧東京日仏学院開校以来半世紀にわたって日仏の文化・芸術交流拠点となってきた関係から社交ダンス、バレー、絵画、音楽、語学などの教室も多く、これらの教室が相乗効果的に街全体の文化的雰囲気を高めているようです。
加えて、神楽坂には「神楽坂通り商店街」「本多横丁商店街」「牛込中央通り商店街」など5つの商店街が集まっています。そして各商店街が集客に工夫を凝らし、切磋琢磨していることから、「都心にしては物価が安い」(町ガイド関係者)のも隠れた魅力のひとつと言えるでしょう。
住民が歴史性を感じられる閑静で落ち着いた住環境を大切にしているせいか、この街で大型高層マンションは目白通り、早稲田通りなど産業通り沿いにしか見られません。街中にあるのは築年数の古い分譲・賃貸マンション、アパート、小区画の戸建て住宅が大半です。
前述の街の魅力から、近年は域外からの居住ニーズが高まっている模様ですが、ファミリーから学生まで世代を問わず暮らしやすい街のため域外への転居者がほとんどなく、賃貸マンションも「空室が出るのは稀。たまに空室が出てもすぐ次の入居者が決まってしまう」(地元不動産会社)と言われています。
不動産情報サイト「HOME’S」の調査によれば、賃貸マンションの家賃相場はワンルームマンションが8.5万円、1DKが10.1万円、2DKが12.6万円、2LDKが23.8万円などとなっており、都心部では割安と言えます。
家賃相場が割安なので、神楽坂の賃貸物件の利回りは低い場合が多くあります。しかし、賃貸マンションの希少性は都心の他エリアより高いので、空室リスクの可能性が低いのがメリットと言えそうです。
したがって、利回りの高さより長期的に安定したキャッシュフロー確保の賃貸経営を目指す投資家には適したエリアと言えるかもしれません。弊社の資産設計コンサルティングでは、お客様の目的に最適な不動産投資の戦略策定と相談対応をさせていただきます。どのような目的を設定するか、お悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。