赤坂駅周辺の不動産投資市況
25以上の坂があるという街。それが東京メトロ千代田線赤坂駅周辺の街「赤坂」です。
地理的には青山通り、外堀通り、六本木通り、外苑東通りに囲まれた地域で、その東西を赤坂通りが貫いています。住居表示では赤坂二-九丁目、六本木二丁目・四丁目一円を指します。
2000年前後に行われた再開発により接待や社交の場から大きく変貌を遂げた赤坂は、さらに近年ビジネスエグゼクティブから注目を集めています。不動産投資やマンション経営において、よりいっそう今後の動向から目が離せない存在となっている赤坂駅周辺の不動産市況について解説します。
「社用族の街」から「社長が最も多く住む街」へ
かつて赤坂と言えば、料亭や高級レストラン・クラブ・キャバレーを連想する街でした。それには、次のような歴史的経緯があります。
赤坂の高台地域は江戸時代、大名屋敷や旗本屋敷が建ち並んでいたところ。明治時代に入ると政治家、官僚、財界人などの邸宅や駐日外国公館が建ち並ぶ都心有数の邸宅街に変わりました。
また、永田町と霞が関に隣接していることから、政界人、官界人、財界人たちの社交の場として赤坂通り沿いに60軒を超える料亭や割烹旅館が軒を連ね、「東京六花街」の一角を占める花柳界を形成していました。
さらに、高度経済成長期に入ると、赤坂通りやその裏通りに高級レストラン・クラブ・キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホールなどが集まり、伝統的な花街と近代的な遊興施設が混在した都心有数の「高級歓楽街」として栄えました。
また、日が暮れると取引先などを社費で接待する社用族で深夜まで賑わったことから、「社用族の街」とも言われました。
ところが、1990年代初期のバブル景気崩壊以降、これらの遊興施設が減少の一途を辿り、街からは接待で飲み歩く社用族の姿が消え、赤坂は衰退してゆくかに見えました。
この衰退を食い止めたのが、大規模な都市再開発です。
政治の中枢・永田町、行政の中枢・霞が関、そして政府系各種機関・業界団体・企業のヘッドクォーターが集まり産業活動の中枢地とも言われる虎ノ門と、これらの3エリアに隣接する赤坂は、再開発により利便性の高いビジネス拠点に生まれ変わりました。さらに近年は、詳しくは後ほど説明しますが全国で「最も社長が多く住む街」となり、戦前までの伝統的な街並みと先端的なライフスタイルが調和する都心の高級住宅街として発展しつつあるようです。
ビジネスパーソンの職住近接好立地エリア
かつて社長が多く住む街と言えば田園調布や成城と相場が決まっていました。
ところが「全国267万社の中で社長が多く住む街のトップは東京・赤坂の2103人」だったことが、東京商工リサーチの『2014年「社長の住む街」調査』(2015年4月発表)で初めて明らかになったのです。ちなみに同調査で田園調布は1299人で18位、成城は1399人で13位でした。これは、赤坂の意外な顔でした。
赤坂が「社長が最も多く住む街」になったきっかけは、2011年の東日本大震災。「あの時に発生した都心部の交通麻痺マヒの体験が『社長の赤坂移住』を促した」(不動産業界関係者)と言われています。
すなわち、公私の区別を付けられない多忙な経営者にとって、「都心部に自宅があった方が何かと便利だし、大規模な災害が発生した際、夜中でも直ちに本社に駆け付けて陣頭指揮が取れる。再開発により都市機能が充実した赤坂は住むにも便利な職住近接の好立地」との認識が、経営者層に広がった結果と見られています。
こうした経営者層の入居需要を反映してか、赤坂では賃貸マンションもコンシェルジュサービスや最上階にスカイラウンジがあるなど共用施設が充実した高級マンション、または個性的な設計のデザイナーズマンションが多いという特徴があります。
かつては高級邸宅街、現在は社長の街と言う特色から家賃相場は「都心部で1、2を争う高さ」と思われがちです。ところが、これも意外なことに近隣の六本木や都心の高級住宅地として有名な麻布・表参道より低めなのが現状です。
不動産情報サイト「HOME’S」の調査によれば、賃貸マンションの家賃相場はワンルームマンションが12.9万円、1DKが14.3万円、1LDKが21.5万円、2LDKが29.7万円などとなっています。
家賃相場の意外な安さは、物件が高級マンションやデザイナーズマンションから一般的なマンションまで種類が多彩なことが原因のようです。換言すればピンからキリまでの家賃設定により、経営者層から一般社員層までの幅広い職住近接ニーズを満たしているのが赤坂の隠れた魅力と言えそうです。
赤坂の賃貸マンションは今後、職住近接の住環境を求めるビジネスパーソン層の需要増加が予測されているようです。資産価値の保持と安定的な収益を見込めるエリアとして、赤坂は今が投資のチャンスと言えるかも知れません。
しかしチャンスだからといっても、不動産投資物件なら何でもいいというわけではありません。的確な目標設定と投資戦略、さらに売却などの出口戦略まで整えたうえで臨むことが重要となることでしょう。
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